このように相続財産の管理手続は、それぞれ2ヶ月、3ヶ月といった期間が定められており、一つ一つの手続が順番に進んでいきますから大変時間のかかるものです。権利主張を考えている方は、所定の申し出期間内に、適切な資料を添えて申し出をする必要があります。
被相続人(亡くなった方)に対して債権を有していたのに、相続人が全て相続放棄をしてしまい支払請求の対象が誰もいないというケースでも、先述の期間内に債権者として届け出をすることで、残余財産の範囲内で弁済を受けられる可能性があります。
とはいえ、これは家庭裁判所が相続財産管理人を選任し管理手続が進行していることを前提としていますから、そうでない場合には、誰かがまず相続財産管理人選任の申立をしなければなりません。
この場合の債権者は利害関係人として、自ら相続財産管理人選任の申立をすることも可能と思われます。ただ相続財産管理人選任の申立をする際には、家庭裁判所に数十万円~100万円程度の予納金を納めることが必要であるという点に注意が必要です。
(予納金の額は、事案の複雑さに応じて裁判所が決定します)
これは相続財産管理の費用が残余財産の範囲で支弁できなかったときに備えて納めておくという性質のものですから、結果として残余財産の額が相続財産管理費用を上回っていた場合は、案件の終了時に申立人へ返還されます。とはいえ金額も中々大きく、必ず返還されるとは限らないものですから、できれば相続放棄した元法定相続人などが相続財産管理人選任申立をするのを待って、債権者として届出をしたほうがリスクは少なくなってくるでしょう。この場合、先述のとおり債権者として申し出が可能な期間は決まっていますから、時期を過ぎてしまわないよう十分注意してください。
相続財産管理人の選任は裁判所が行いますが、候補者を推薦することもできますので、当事務所にて相続放棄から相続財産管理人まで一貫してお手伝いが可能な場合もあるかと思います。まずはお問い合わせ下さい。
○相続財産管理人選任の申立
↓
○相続財産管理人の選任、選任の官報公告
↓(2ヶ月後)
○「相続債権者・受遺者に対する請求申出の催告」官報公告
↓(2ヶ月)
○「相続権主張の催告」官報公告
↓(6ヶ月~)
○「特別縁故者に対する相続財産の分与」の申立期間
↓(3ヶ月,即時抗告期間2週間)
○残余財産は最終的に国庫へ帰属