前回は戸籍の取り方について少し紹介しましたが、戸籍関係は専門用語が多いので簡単に補足をすることにします。
「戸籍謄本」という用語が相続の分野でよく出てきますが、これは”戸籍に記載された全員を写したもの”という意味です。
戸籍というものが市区町村の役場に保管されています。「謄本(とうほん)」とは、”その戸籍に載っている人の全員を写しとったもの”を指し、「抄本(しょうほん)」とは、”その一部の人だけを写しとったもの”のことを指します。だから戸籍”謄本”というものもあるし、戸籍”抄本”というものもあるわけです。
戸籍以外にも、「除籍(じょせき)」「改製原戸籍(かいせいげんこせき・はらこせき)」というものがあります。(ややこしくなってきましたか?)
戸籍は、一組の夫婦とその子で構成されています。子が結婚すれば通常は新しい戸籍を作って今までの戸籍から出て除籍されますし、死亡した人や養子に行った人も戸籍から出て除籍となります。このように戸籍の構成員全員が居なくなった場合、その戸籍全体が除籍となります。今は居なくなってしまった、戸籍の構成員の全てを記したものが除籍”謄本”になるわけです。
改製原戸籍とは、”作り直される前の、昔の戸籍”ということです。
戸籍制度が発足して以来、戸籍は何度か作り直されています。既に除籍になっている方の記載などは新しい戸籍に引き継がれず、作り直す時点で有効な記載だけが残されます。そのため、現在有効な戸籍だけを読んでみても、過去にどういった人が記載されていたかまでは分かりません。そういった場合に、この原戸籍を取寄せて過去の戸籍関係を調査することになります。これも謄本と抄本があります。
戸籍・除籍謄本や原戸籍謄本には、いつ、どういった原因でこれが作られたかという事柄が全て記載されています。”○月○日に○と婚姻して○市○町○番地に新戸籍を編成したため除籍となった“、”○月○日に法令によって新しい戸籍が編成された”など、前後のつながりが全て書いてあるのです。そこで、この記載をたよりに戸籍をたどっていくことで、過去から現在に至る親族関係が明らかになっていくのです。
昔の除籍謄本などは筆で手書きされていることもあるため、達筆すぎて何が書いてあるのか非常に読みにくい場合もあります。そんな時は、役所の担当窓口に電話して聞いてみればよいのです。きっと親切に読み方を教えてくれることでしょう。(あるいは、一緒に悩みながら筆跡を解読してくれるでしょう)