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相続・遺言コラム

相続人がいない場合(相続財産管理人とは)(1)

2008/08/12

相続人も特別縁故者もいない方が資産を残して亡くなった場合、残余財産は誰も引き継ぐ人がいないので最終的には国庫帰属します。これは最初から相続人が全くいない場合のほか、相続人の全員が相続放棄してしまったような場合にも起こります。

 

もっとも本当に相続人がいないのか、いないとしても特別縁故者がいるのではないかといった事項は誰かがきちんと調査をしなければなりませんし、債権者がいるならば可能な範囲で弁済を行うことが必要となってくるでしょう。

 

また、相続放棄をすると最初から相続人ではなかったことになりますから、相続財産(たとえば家や土地)が残っていたとしても、その後でどうなろうが関係ないということになりそうですが、そうではありません。

相続放棄をした者が、管理下にあった相続財産の管理までも即座に放棄してしまうようなことになると、他の相続人や債権者にとって不都合がありますから、民法は相続放棄をした者の管理継続義務を規定しています(民法第940条1項)。相続放棄によって相続人が1人もいなくなる場合であれば、最後に放棄をした者がこの義務を負うことになりますから、しかるべき手続をとらなければ相続放棄した後も思わぬ責任を追及されてしまうおそれがあるのです。

 

こういった問題に対処するのが“相続財産管理人”です。相続財産管理人とは、家庭裁判所の審判によって選任され、相続財産の管理と調査・換価などを行う者で、通常は地域の弁護士が就任します。相続人がいるかどうか明らかでない財産は法人化(財団化)するので、相続財産管理人はこの財団を管理する立場となります。

最後に相続放棄をした者の財産管理義務は、この相続財産管理人が相続財産の管理を始められるようになれば終了します。

 

当事務所の弁護士も、名古屋家庭裁判所から相続財産管理人に選任され、相続財産管理業務を行っております。

 

相続財産管理人が選任されると、その旨が官報に掲載されて広く公告されます(現在では、インターネットでも官報の記載を確認することができます)。

相続財産管理人の就任から2ヶ月が経過すると、「相続債権者・受遺者に対する請求申出の催告」が官報に公告されます。これは、亡くなった方(被相続人)の債権者や受遺者に対して名乗り出るように催告するものです。被相続人に対して債権を有していた方は、この際に申し出をすることで、残余財産の範囲内で弁済を受けられる可能性があります。

 

債権者・受遺者への弁済後も残余財産が見込めるような場合、今度は相続人捜索をするための「相続権主張の催告」が6ヶ月以上の期間を定めて公告されます。この期間が満了してしまうと、相続人・債権者・受遺者は権利を失うことになってしまいますから注意が必要です。

 

相続人捜索期間が満了すると、今度は「特別縁故者に対する財産分与」の申立期間(3ヶ月)が開始します。被相続人との特別縁故を主張したい方は、この期間内に申立をすることで、相続財産の分与を受けられる可能性があります。(分与の可否については、調査の上で家庭裁判所が判断します)

 

このような手続きを経て、最終的に残余財産があった場合、これらは全て国庫へ引き継がれることになります。

 

民法第940条

第1項 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産と同一の注意を以って、その財産の管理を継続しなければならない。

 

 

カテゴリー: 相続放棄

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